思い切りのいい教育論

先生はえらい (ちくまプリマー新書)

先生はえらい (ちくまプリマー新書)


はて、再会です。いや再開か。なんかはてなダイアリーのシステムが進化しててびっくりした。浦島感覚。タイムスリップとか超能力とか出るかしら。まぁ、とりあえず今日読んだ本などを。
内田樹という人は、結構僕の中で「この人の書いたものはとにかく読む価値のあるものだ」という位置にいます。そのわりに著書を買ったことはなかったんですが、先日ふらりと本屋に寄ったら新刊が出ていたので買いました。
ちくまプリマー新書というのは、子供向けに大人が真剣こいて書くシリーズです。分かりやすく面白いんでしょう、たぶん。少なくともこの本は面白かった。クラフト・エヴィング商會のデザインもキレイだしね。
で、中身なんですが。「先生はえらい」というタイトルだけども、内容は学ぶという事の根元的な話です。つまり、生徒側の気の持ちようで先生は変わると。もちろん今の学校を持ち上げて教育委員会が泣いて喜ぶような話じゃないですよ。かといって教育委員会を叩くわけでもないです。そんなもの歯牙にもかけずに、コミュニケーション論もまざりつつ進みます。これがまた面白い。何が面白いって、自分のこれまでの価値観みたいなのを破壊してくれるんですわ。国民の義務の「教育」というのは「子供は学校で勉強しないといけない」のではなく「大人は子供を学校で勉強できる環境を作らなくてはいけない」ということだと気づいたときの驚きに似てます。なんか根本的にひっくり返される爽快感がある。内田樹の書くものは、かなりの確率でそういうことが書いてあるんですね。そして、まぁ反論されたりぼろくそに言われたりしそうだけど言い切ってしまう。だから好きでね。
なんだか分からないけど気になるものを交換すること。それは等価じゃなくてもいいし、そもそも等価なんて言う価値観があほくさいのだけども。それをこっちが勝手に受け取って、あぁあの人は師だと思ったときに「学ぶ」という事象が生まれるというような感じですか。まぁ、読んでみてください。人と人がいろんな方法で関わり合うときに生まれる面白いことについて、分かりやすくいっぱい書いてあるので。