めぐり合わせ


性懲りもなく買い続けているファウスト。いつも800ページ中20ページくらいしか読まないのに、なぜか買ってしまう。たぶん何かのヒントを求めているのだと思う。それが何のヒントなのかさっぱりわからないのだけど、気になっているということだけでも特別な存在であることは確かである。
あれはいつの事だったろうか。ある日突然「俺は最近ファンタジーとかいうものに触れていない」と思った。それはなぜか焦燥感を伴っており、無理矢理に何冊か小説を買ってみたりした。だけど読書感はあきらかに昔とは違う。若い頃の運動能力の感覚を忘れられずにかけっこで転倒する運動会のお父さんのように。運動の場合はその焦燥感はすぐに消えるのだけど、不思議なことにファンタジー的小説へのその感覚は今も消えていない。だからファウストを買い続けている。
そして、Vol.5において、ついにその行動は意味をなした。上遠野浩平を特集していたのである。といっても上遠野浩平というのが誰なのかは知らなかった。ただ『ブギーポップは笑わない』という作品について、見かけた記憶があったのみである。ただし、見かけた数が多かった。本屋で実物を見かけた記憶。ライトノベル特集で読んだ記憶。デザインの雑誌で読んだ記憶。そして今回のファウストにつながり、インタビューを全ページ読み切り、『ブギーポップは笑わない』を読んでみようと誓うに至ったのである。めずらしい。
タイミングも良かった。今読んでいるのが来年の大河ドラマになる司馬遼太郎の『功名が辻』なのである。僕は勝手にあらゆるメディアを「普通系」と「オタク系」に分け、交互に鑑賞することを自分に課しているので、次はオタク系の番なのだ。
というわけで、近々『ブギーポップは笑わない』を購入する予定。まだ『功名が辻』を全4巻中1巻しか読んでいないので、かなり先のことになるのだろうけれども。