死のハードル

テロリストの最大の目的は、自己主張のための派手な破壊とそれにともなうド派手な混乱。それには戦争なんてもってこい。民間人を巻き込んでくれるともっとよい。相手側を悪にしてかりそめの正当性を主張できるからね。たとえそれがインチキくさい新興宗教みたいな正当性だったとしても、インチキくさい新興宗教にもそれなりに信者はいるもんだ。
アメリカが正しかろうと間違っていようと、もうどうでもよくなったけど、対テロリストに関しては馬鹿で無能であることは間違いないと思う。アメリカをちょっとつつくと戦争を二回も起こしてくれるのだから、費用対効果は抜群だ。自分の命と引き替えにでも主張したいことがあるのなら、テロはとても有効な手段だということになってしまった。イラク戦争は、フセインと部下の悪党をこらしめて一件落着なはずだったのだけど、もう目的はそこじゃなくなってる。とりあえず治安維持ということになっているけども、どうなることやら。戦争は始めるよりも終わらせるのが難しい。国対国ならいいけども、対テロリストだと負けを認める人がいないのでどうにもならない。アメリカはただいっぱい殺したというだけで、別に勝ってはいない。敵は誰なんだ? 誰を倒せば勝ったことになるんだ?
凶悪テログループのボスでもいればいいんだけど、わかりやすいグループがいないので、とりあえず便宜上「テロリストと戦っています」と言うしかないこの情けない見通しの立たない現状をどうしたいんだ?
ただ、いまんとこ安全な日本でぬくぬくしている僕がもっとも現実的に不安なのは、毎日人が死んだり、人を大量に殺しているという情報が流れ続けることだ。死のイメージが、漠然と大量に何のまともな説明もないままに襲いかかってくることだ。それは殺人であったり自殺であったりというものへのハードルを下げていくことになるのだと思う。