ラヴ&ピース

ラヴとピースにあふれた物語りがある。それどころかユーモアやスリルとサスペンス、エロスまでが存在し、テキストでも味わえ、さらさらと読める話し言葉の古典芸能がある。「落語」である。
落語は、けして大声で笑えるものではないかも知れないが、人情味あふれた下町の暖かい風が心地よい世界には、癒しの効果さえありそうな独特の雰囲気がある。考え抜かれた肩の凝らないユーモアは、栄養ドリンクではなく漢方薬のようにじんわりと心に染み渡り、クスリと笑える。
日本人が得意とする言葉遊びや笑いのポイントなどがちりばめられた話が、時事ネタなども交えて現代風に変化しながらも、話しの妙を楽しませてくれ、オチでしっかりと締めてくれる。実に軽快で楽しい。古典芸能とはいえ、もともと庶民文化の発展系だ。客が受けると思えば、ちょっとエッチな艶笑落語というのもある。最近では見聞きできないシャレの聞いたエロスも、これまた楽しい。今回紹介する「東西落語特選」には、そんな落語のテキストが50以上も収録されている。
喧嘩ばかりしているが仲のいい夫婦。毎回問題を起こす男に、飽きもせず物事を教えてくれるご隠居さん。どじな泥棒。ケチの中のケチ。見えっ張りの和尚さんなどなど、憎めないキャラクターのオンパレード。人間はあんまり変わってないなぁと、嬉しくもあり、悲しくもあり。
有名どころの「寿限無」や「饅頭恐い」をあらためて見直すもよし。江戸と上方の違いを楽しむもよし。いろいろジャンル分けされているし、簡単なあらすじものっているので、興味の湧いたところから適当に読みあさるのがまた楽しい。しょせんは庶民の娯楽である。気軽に読んで気軽に消してしまえばいい。Palmからファイルを削除したときに「おっ、宵越しのファイルを持たねえなんてのは粋だねぇ」なんて声が聞こえてきそうな「東西落語特選」。おすすめです。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/6684/


●特におすすめな「東西落語特選」のテキスト。
もぐら泥⇒http://www.geocities.co.jp/Hollywood/6684/mogura.html

そば清⇒http://www.geocities.co.jp/Hollywood/6684/sobasei.html

お見立て⇒http://www.geocities.co.jp/Hollywood/6684/omitate.html