まるでジーンズのように

●ポップ&ロープライス
僕はVisor Deluxeの魅力は、この一見「ゲームボーイ?」くらいのポップな見た目と、その認識から来る気軽さにあると思っている。さすがに3万とか4万のマシンを尻ポケットに入れて椅子に座るなんてオソロシイことはできないが、Visor Deluxeならできてしまう。手帳とは、常に身に付けていたいものだ。Tシャツにジーンズでも持ち歩けないと意味がないと思うのだ。それにはサイズと堅牢さと価格がものをいう。


●8,000円と尻ポケット
一般のPalmマシンには、その形に合わせたケースが多数存在する。基本的にビジネス用だからなのか、そのほとんどが革製品で価格は5,000円以上だ。本体が9,800円なので、ケースを8,000円とかで購入するのはためらわれる。だいいち、このPOPなマシンに革のケースは似合わない。カラフルで2,000円くらいのものもあるが、結局ケースに入れてしまうとジーンズの尻ポケットに入らないのでケースはあきらめた。所持品の中で一番高価なのがVisor Deluxeという状態は避けないと、せっかくの気軽さがなくなってしまう。
もともとVisor Deluxeには液晶画面とボタンを保護するように前面を覆うプラスティックのふたがついている。かぶせるだけでなく、カチリとはまって固定されるタイプだ。結局のところ、これがいちばんフィットするしスペースを取らないのでジーンズの尻ポケットには最適である。ただ上下2点にフックがある着脱式なので、片手で開けたりできないのが吊り革につかまったまま片手で操作したい電車の中などではうっとおしい。そこで購入したのが FlipCover(http://www.FlipCover.com/)である。


●着脱式から開閉式へ
FlipCoverは、プラスティックのふたと裏側にあるSpringboard拡張スロットのふたをちょうつがいでつなげたような形になっており、下のフックをはずせばちょうつがいを支点にプラスティックのふたを裏側に回すことができる。着脱式から開閉式への華麗な変身である。かなり便利なので標準でつけて欲しいくらいだが、唯一にして最大の弱点、Springboard拡張スロットが使えなくなるという問題があるので無理だろう。秋葉館PDAオンラインショップ(http://pda.akibakan.com/)で購入した。本体は1,880円なのに送料が1,500円なのは悲しいが、近場で売っていなかったので仕方がない。なにせ見た瞬間、欲しくてたまらなくなってしまったのだから。
FlipCoverはVisor Deluxeと同じ色数の種類があるが、他の色は売りきれていたにもかかわらず、やはり最後までグリーンは売れ残っていた。嬉しいのか悲しいのかさっぱりわからない。とりあえず手軽に開けるふたで、かつジーンズの尻ポケットに入れることも可能になったので、Tシャツにジーンズの夏場でも持ち運べ、電車で吊り革をつかまりながら気軽に開けるマシンになった。


●あまり大事にしすぎない
大事に大事に本革のケースに入れて、カバンに入れて持ち運んだりしていると、せっかくのVisor Deluxeの手軽さが減ってしまう気がする。スケジュール管理や出先でネットワーク環境が欲しいのはビジネスユーザーだけではないし、ビジネスユーザーだって休みの日はコンシューマーだ。休みの日にのほほんと公園でテキストを読むもよし、バーゲンセールの日をチェックするのでも、スケベエな夜のお店のお気に入りの娘のスケジュールをチェックするもよし。アニメの時間と塾の時間をチェックする子供がいてもいいだろう。家族が一台づつ持ち、みんなのPDAのスケジューラーの同じ日に温泉旅行が書き込まれているというのもいいのではないだろうか。PDAは個人にダイレクトに付属して活躍してこそ本領を発揮できる。生活そのものに密着できるレベルまで行くには、ちょっと落としたくらいで冷や汗をかいている場合ではないのである。
多少雑にあつかえないと、使用頻度は落ちてしまう。それではせっかくハンディサイズにした意味がない。PDAは神棚に上げて飾っておくものではない。使い倒して壊れたら買い替える消耗品だと思う。重要なのは中身(データ)なのだ。中身は家にあるパソコンに大事にしまって、外でおもいきりPDAを使い倒そう。
色落ちしてよれたジーンズが格好いいように、自分でつけてしまった傷だけが飾りのシンプルなZIPPOライターが格好いいように、味のあるVisor Deluxeを僕は目指している。