芸人の知性

博士という名を持ち、数々の雑誌に上質のコラムを書き、その外見はとっちゃんぼうやでテレビには深夜枠の出演が多い。格闘技を愛し、猪木に陶酔し、北野武を師と仰ぐ男がいる。漫才師、浅草キッド水道橋博士である。たけし軍団の末席にいるだけで、たまにテレビに登場する芸人さん程度にしか認知していない方も多いだろう。実際、僕もそうだった。しかし、ほぼ日刊イトイ新聞に連載中の清水ミチ子の日記に何度か登場していたので、なにげなくネットで検索し、気がつけば一気に全ページを読みあさっている僕がいた。
関根勤の、いきなり格闘技選手に例えるというわからないんだけど面白いネタに、毒をたっぷりと盛ったような強烈なネタ。しかし内容はしっかりと伝わり、それどころか読んでいるうちに嘘すらも信じてしまいそうになるその文才。なんでもないものを、あたかもすばらしい物のように語る詐欺師まがいの口調からは、明らかに才能が感じられる。
その水道橋博士のコラムや日記、そして、けして公共放送では流されることのない彼らの漫才のネタが惜しげもなく公開されているのが『浅草キッドのネット寄席「キッドリターン」』である。あの北野武をして「俺の好きなタイプの漫才」と言わしめた彼らの漫才を読むのもよし、タレントではなく芸人として生きる彼らの日々の記録を読むもよし。日記に登場する江頭2:50などの見方が180度変わってしまうほど、彼らの芸に対する凄みが、余すところ無く書き込まれた珠玉の逸品である。
舞台に上がれば必ず満席にも関わらず、お笑いのライブに一番多いとされる若い女の子が異常なほどに少ないという彼ら。その熱い魂が込められたテキストというのも、たまにはいいじゃないですか。
浅草キッドのネット寄席「キッドリターン」』
http://www.asakusakid.com/


●特におすすめな『浅草キッドのネット寄席「キッドリターン」』のテキスト。
「戦後50年 震災・オウム」⇒http://www.asakusakid.com/manzai/950911.html

猪木教は宇宙を救う!⇒http://www.asakusakid.com/past-column/sugodama1.html

自分好みの芸人になること⇒http://www.asakusakid.com/past-column/edomae.html

浅草キッドの「問題発言対談〜極彩 ブルース!」⇒http://www.asakusakid.com/column/scholar.html