ハードボタンまわりのこんがらがりそうな話

●ミイラ取りがミイラ
 パームを使いだして間もないころ、先人の方たちの使い方をかいま見てあきれていたことがありました。それはハードボタンの使い方です。もともと環境設定で4つのボタンには好きなアプリが割り当てられるので、それで充分じゃないかと、そんなに何十個も使いこなすなんてただのマニアじゃないかと、そんなことやってたらシンプルでクールなパームの良さが薄くなっちゃうじゃないか、なんて思っていたのでした。
 で、まぁ気がつくと、僕のパームはハードボタンを押すだけで色んなことができるようになってるわけなんですが。今回は、そんなマニアっちゃあマニアになってしまった僕のハードボタンまわりのお話をしてみようかと思っております。
●予定表ボタン
 予定表ボタンに予定表、アドレスボタンにアドレス、メモ帳ボタンにメモ帳。標準アプリで唯一使用頻度が低いToDoボタンには、僕がパームで一番使うDOCアプリを割り当てる。それで4つのハードボタンは全て埋まります。これは今だにそのままなんですが、それじゃあマニアにはなれません。なもんで、かなり長い間その状態が続いておりましたが、ある日僕はClockPopに出会うわけです。
 DOCを読みふけっていたりすると、ふと気になることがいくつかでてきます。バッテリの残量とか、現在時刻とか。とりあえずPooKには時計を表示することができまして、現在時刻はクリアしてたんですが、さすがにバッテリ残量までは表示してくれません。そこで、バッテリとメモリの残量を表示できるDAをいちいち起動するという方法をとっておりました。しかしまぁ起動するにも閉じるにもちっさいポイントを正確にタップする必要があり、わりとイライラします。もっと簡単に見れるのはないもんかと探して見つけたのがClockPopでありました。
 まず気に入ったのは、ボタンの押しっぱなしで起動し、放せば消えてくれるところでした。普通に押せば割り当てられたアプリが起動してくれるので、4つのボタンに割り当てたアプリには何の不都合もありません。それどころか何のアプリを起動していても表示させることができるので、いつでも何をしていても、PDAで一番気になるところでもあるメモリとバッテリの残量が確認できるのです。こいつはいいもの見つけたぞと思ったものでした。
 さらにClockPopはその名の通り、時間を表示するのがメインです。日付も出ます。電源を消した状態から表示させると、ボタンを放したときには電源が切れたりしてくれるので、もろに懐中時計のような機能をパームに持たせることができるのです。当時発売されていたm100系のパームマシンには電源が切れている状態で上ボタンを押すと時計が表示されるという機能がありました。しかし僕が使っていたのはバイザーデラックスだったので、ちょっとうらやましく思っていたのですが、これでもうそんなこともありません。さらにClockPopはその日のスケジュールすら表示してくれるのです。これらは全て気になったときにちょっと確認したいと思う情報なのですが、それを全て一画面でさっと表示してくれるClockPopはその日から僕の必須アイテムとなったのでした。押しっぱなしで表示させるボタンには予定表ボタンが選ばれました。これはClockPopには予定が表示されるから、という単純な発想だったのですが、ひとつのボタンに複数の機能を持たせる場合には、この記憶の関連づけというのがとても重要なのです。
 というわけで、僕の予定表ボタンは普通に押すと予定表(現在はKsDatebook)が、押しっぱなしにするとClockPopが起動するということになっています。
●アドレスボタン
 ClockPopの出現によって、ハードボタンに複数の機能を持たせることへの抵抗が少なくなった僕は、あることを試そうと思い始めました。それは普通の環境設定ではできなかったハードボタンでDAを起動させるということです。色んなサイトで何度も見かけていたので「これはもう標語だ」とすら思えていた二つのアプリ、BottanDAHackとLDAの同時導入を敢行したのです。
 環境設定を乗っ取ってあらたなハードボタン起動アプリを設定できるLDA。これがその名の通りDAアプリで、そのままだとハードボタンで起動することができません。そこで登場するのがハードボタンにDAを割り当てられるBottanDAHackなわけです。この強力な2つのアプリのおかげで、かなりのアプリやDAをハードボタンのみで起動することが可能になったわけですが、その話は以前書いたことがあるのでここではあまり深くつっこみません。
 BottanDAHackでLDAを起動させるということですが、LDAは環境設定を乗っ取って独自にハードボタン起動アプリを設定できるものの、まずLDAを起動させるハードボタンが必要になります。予定表、アドレス帳、DOCリーダ、メモ帳のどれかを犠牲にしなくてはなりません。ここで白羽の矢が立ったのは、一番使用頻度の低いアドレス帳ボタンでした。といっても、LDAを起動したときのアドレス帳ボタンにアドレス帳を設定したので、ボタンを2度押せばすぐにアドレス帳が起動するようにはしましたが。
 現在は、さらにちょっとひねった形でアドレス帳(Addrex)を起動しています。ボタンを押す順番はアドレス帳ボタンを2度押すということで変わっていませんが、LDAを起動したときにアドレス帳ボタンに設定されているのはContext DAというDAです。これは設定用のアプリとセットで使うDAで、DAを起動したときに何のアプリを使っているかで切り替わるアプリが変わるというDAなのです。たとえば予定表を開いているときにContext DAを起動させるとメモ帳が開くとか、メモ帳を開いているときにContext DAを起動させるとアドレス帳が開くとかいうふうに、あらかじめ設定しておいたアプリを行ったり来たりできるのです。僕はその設定のうち、Defaultという欄にAddrexを設定しています。つまり条件設定されていない全てのアプリ上でContext DAを使うとAddrexが起動するという設定になっているのです。
 さらに、アドレス帳ボタンにはあと2つ仕掛けがしてあります。ひとつは電源に関するもの。ハードボタンに設定していないアプリを使っているときに電源が切れた場合、前の状態で起動させたいときには電源ボタンを押せばいいのですが、僕が使っているm130は電源ボタンが他のハードボタンとは離れたところにあり、持ち替えないと押せないので面倒くさいという状況がありまして。それを回避してくれるButtonOnHackというアプリがあるのです。ButtonOnHackは電源が切れている状態の時だけ電源ボタンとして機能するボタンを設定できるというピンポイントアプリでして、一応完全に電源ボタンの替わりにすることもできるのですが、そうするとほかのアプリが設定できなくなってしまうので、とりあえず電源を入れるときだけ使っています。
 もう一つはLazylauncherというラウンチャーです。すでにアドレス帳ボタンにはLDAというラウンチャーが設定されているにもかかわらず、なぜもう一つラウンチャーを設定するのかといえば、当然ながら機能が違うからです。LDAはひとつのボタンにひとつのアプリないしDAを設定しますが、LazylauncherはアプリもしくはDA一覧を表示してそこから選ぶというものです。普段はあまり使わないのでLDAに設定していないDAを使うときに、ワンアクションで一覧を表示してくれるアプリが欲しいなぁと探して見つけました。Lazylauncherはボタンの長押しで起動するので、起動方法でかぶることはありません。
 というわけで、僕のアドレス帳ボタンは、電源OFF時には電源ONに、短く押せばLDA、長く押せばLazylauncherが起動する状態になっています。ちなみにこれらは全てHackアプリで起動させているので、たまに動かなかったりします。HackをONにする順番とかでどうにかなってますが、ほぼ間違いなくやっちゃいけねえんだろうなぁと思いながら使ってます。なのでここはとくに真似しないでください。
●ToDoボタン
 ある意味、僕にとってのパームは多機能な電子ブックリーダかも知れません。まず間違いなくDOCを読むというのが使用の中心です。なので、DOCリーダをハードボタンで起動するというのは絶対的に必要で、あまり使わないToDoがDOCリーダーにその地位を乗っ取られるのにそれほど時間はかかりませんでした。
 しかしここにきて困ったことがあります。日本で作られているDOCリーダーはいくつかありまして、当然のごとくそれぞれに違いがあります。そして機能の違いから、どうしても4つのDOCリーダーを使わなければいけないという状況にあるのです。
 テキストファイルをDOCに変換できる超安定神様DOCリーダー「J-DOC Reader」。McFileとの連携で外部メモリのファイルシステムを内部に展開できる「Crs-MeDOC」。最もすっきりと縦書き表示のできる「SimpleDOC」。行間調節ができドットブックも読める多機能DOCリーダー「PooK」。これらは読もうとするDOCファイルとその日の気分によって使い分けられ、どれひとつとして欠かすことのできない必須アプリ達なのですが、これらをハードボタンで起動するために様々な方法を試してきました。現在もこれは模索中で、複数の方法で起動することが可能な状態になっています。
 すでに紹介したLDA、Context DAも当然のように試し、その次に試したのはEasyLaunchでした。これはまぁ、およそ考えうるありとあらゆる方法でアプリを起動してくれます。DAもOKです。たとえばボタンを押す長さであったり、複数のボタンを同時に押す組み合わせであったり、スタイラスを移動する起点と終点だったりするわけです。とりあえず僕はDOCはここにまとめようと決めたToDoボタンを、押したとき、長く押したとき、もっと長く押したときの3つにそれぞれPooK、SimpleDOC、Crs-MeDOCを設定しました。しかし日によって好みのDOCリーダーが変わるので、その設定も日によって変わります。EasyLaunchは起動方法を頭で記憶するしかなく、日によって変わる設定を覚えきれず、使用を断念したのでした。ただ、こんな特殊な使い方をせずに、設定が固定すればとても便利なアプリなのでインストールはされたままです。
 次に試したのはKeyLunchでした。これは起動すると4大ボタンと同じアイコン付きの画面が4つに分かれていて、さらにそれぞれに4大ボタンと同じアイコンが並んでいまして、ボタンを押すごとに選択肢を絞り込んでいってアプリを起動するランチャーです。絞り込む作業が目に見えるので、設定を変えても忘れることがないのでとても使いやすいのです。ですので、とりあえず4つのDOCリーダーを行ったり来たりしている現状では、このKeyLunchがベストチョイスではないかと思い、KeyLunchを中心にDOCリーダーを行ったり来たりしています。
 というわけで、僕のToDoボタンは、押すとDOCリーダーを中心に設定されたKeyLunchが起動します。(EasyLaunchのおかげで、長押しでJ-DOC Readerが、超長押しでPooKが起動したりしますが、今後変更される可能性が大です)
●メモ帳
 DOCリーダーに続いて、個人的にパームのなかで使用頻度の高いアプリがメモ帳です。銀行の口座番号だのシェアウエアのシリアル番号だの日々思ったことだの買いたい本だのが書き散らされております。これだけ使うのですから、当然ハードボタンのメモ帳ボタンはそのままメモ帳で決まりです。
 さて、それとは別の話ですが、これだけハードボタンにこだわってきた僕には、大げさに言ってしまうとひとつの夢がありました。それはダイアログもハードボタンで操作したいという夢でした。「〜しますか」「はい」「いいえ」。ここまでハードボタンでサクサク進んできたのに、その「はい」を押すには液晶に触らなければいけないのかと思うわけです。一時期CLIEを使っていたのですが、BackボタンとJOGダイヤルでダイアログを操作できていたので、なんとかm130でもできないものかと思っていたわけです。そしてPowerJOGに出会うのでした。
 ある意味、PowerJOGはこれまで書いてきたことのほとんどができるスーパーアプリです。メニューを開いて選択ができ、画面上のボタンを押すことも可能、アプリケーションやDAも一覧から起動が可能と、何でもこいな状態なのです。ただ、何でもこいというものの弱点として、最終的に選ばれるものまでたどり着くのに手数がかかるということが上げられますが、僕の最大の目的であるダイアログのボタンを押す場合は、始めから押せる状態なので何の問題もありません。
 PowerJOGはボタンの長押しで起動するので、残るハードボタンであるメモ帳ボタンに設定しました。メモ帳を起動しているときにメモ帳ボタンを押すとカテゴリが切り替わって便利ですが、PowerJOGは長押しなので問題ありません。
 ということで、僕のメモ帳ボタンは、押すとメモ帳が起動し、長押しでPowerJOGが起動することになっています。
●まとめましょうか
 以上で、僕のハードボタンまわりに設定されたあれやこれのお話はおしまいです。本稿に登場したアプリケーションはアドレスとともに以下に書き出してありますが、これがまたハードボタンまわりの話のためだけに表記したものだけですからね。はじめてパームに触れたときは5個くらいのアプリケーション入れておしまいだと思っていたあの頃が、妙に懐かしかったりします。でも、このいろんなアプリケーションを使い倒すのがまた楽しかったりするもんだから、どうしようもありません。
 ぶっちゃけ、書いてて自分でも混乱するほどのややこしさなのですが、慣れというのは恐ろしいものでそれなりに使いこなせています。コツは「使わない部分は気にしない」です。ですので、これを読んだあなたも「わからない部分や興味のないところはぶっ飛ばす」という心構えで、ひとつよろしく。もしも真似してわけがわからなくなっても当方では責任を持ったりしませんのであしからず。
ClockPop⇒http://www.muchy.com/review/clockpop.html
PooK⇒http://www.architump.com/
KsDatebook⇒http://kim.ponyoyo.jp/
ButtonDA Hack⇒http://www.jade.dti.ne.jp/~imazeki/palm/
LDA⇒http://hp.vector.co.jp/authors/VA019709/PalmPilot.html
Addrex⇒http://homepage3.nifty.com/yoshimov/addrex/
Context DA⇒http://www.handgear.com/software/showsoftware.cfm?prodID=5140
ButtonOnHack⇒http://odin.prohosting.com/fujima/
LazyLauncher⇒http://www001.upp.so-net.ne.jp/h-yama/
J-DOC Reader⇒http://simple-palm.com/
Crs-MeDOC⇒http://crspalm.hp.infoseek.co.jp/
SimpleDOC⇒http://www.shoppingmall-jp.com/
PooK⇒http://www.architump.com/
EasyLaunch⇒http://www.mujweb.cz/www/hysy/EasyLaunch.htm
KeyLunch⇒http://pamupamu.tripod.co.jp/
PowerJOG⇒http://simple-palm.com/