たとえばこんな使い方(Rokuyou編)

 ことわざ、というのとはちょっと違う。迷信、といってしまうとうそ臭すぎて好きじゃないんだけど。風水みたいな、占いみたいな、そんな暦(こよみ)を使って行動を予測する習わしが日本にはある。
 仏滅には結婚式場が安くなる。六月の大安にはどこも予約でいっぱいだ。そう、六曜です。
 先勝(せんしょう・ せんかち・ さきがち)、友引(ともびき・ ゆういん)、先負(せんぷ・ せんぶ・ せんまけ・ さきまけ)、仏滅(ぶつめつ)、大安(たいあん・ だいあん)、赤口(しゃっく・ じゃっく・ しゃっこう・ じゃっこう・ せきぐち)の六つで六曜。
 意味はわりとそのままで、「先勝」はすぐやるのが吉で、午前が吉、午後が今日。「友引」は何事も引分で勝負がつかず、友を引く、つまり友がいなくなるということから、見舞いや葬式をしない。吉凶で言うと朝晩は吉、昼は凶。「先負」はまぁ先勝の逆みたいな感じで、平静を保つことが吉になる。さらに午前は凶、午後は吉。「仏滅」はもう何やっても駄目。「大安」は大体が吉。「赤口」というのは赤だから縁起がいいかと思いきや、赤は血の赤で火や刃物に注意という大凶の日。友引の逆で昼のみが吉。というようなことだそうです。所によって意味が違ったりするそうですけど、僕が調べたところでは大体そんな感じ。
 まぁ、基本的には普段の生活ではまったく気にしていないし、気にすると言っても大安と仏滅くらいなものだと思う。友引なんて意味を考えたことすらなかった。小ネタとしては、葬式が行われないので坊さんはこの日に結婚するのが多いらしい、なんてのもありましたが、そもそもおそらくこんなネタを披露するきっかけがなさそうだ。それくらい六曜ってのはマイナーな感じなのです。大体の六曜を紹介しているサイトでも、かなり卑屈な感じで解説されていて、それほど覚えなくてもいいというようなことで文章が締められていたりします。出典もあいまいだったり、読み方も意味もばらばらだったり、そもそも仏滅は仏が死んだとか言われるが、それは後からのこじつけでもともとは物滅だったらしいし、友引も要は引き分けであって道ずれとか言うものではないという、なんだか威厳のないことはなはだしい。
 ではなぜそれを題材にコラムを書いているかというと、六曜のパームウエアが存在するからなのです。その名も「Rokuyou」。しかも、それが妙に気になって仕方ない。特にいつも必要だというわけでもないのに、いや、だからこそ気になるのです。
 僕は機能的に何でも入っているというのは好きではないんですが、データとしていろんなものが入っているというのは好きなのです。しかも、普段は使わないけれど欲しいときにはそれがないとどうにもならないというものが大好きなのです。六曜はまさにそんなデータだと思います。いつか「あぁ、次の大安は○○日だよ」と、パームをさっと出して周囲の羨望を集めてみたいのです。
 がしかし、それだけの理由で持ち歩くのは、まるでただの見えっ張りみたいで嫌です。そのあたりが難しいお年ごろなのです。一時期ホテルのホームページを作っていたときに「ここは結婚式もするから、今なら使えるかも知れない」と思ったのですが、打ち合わせの段階で式場とプランの紹介をするだけということが決まっていたので使わずじまいでした。
 なんとか六曜を使うことはないだろうか。さらに、コンピューターに、あわよくばパームに関連するようなことで。そう思い続けて幾年月。ついにその日がやってきたのです。
 ふと見たメールマガジンに、おばあちゃんの言い伝えみたいなコーナーがありまして、そこにその六曜はありました。曰く「赤口の日にモノを買うと『身につかない』から今度ガマグチを買うときは、大安か友引の日に買うんだね」。そうです、赤口の日に買ったものは身につかないことになってしまうらしいのです。つまり、いつも身近に置いておくべきPDAのようなものも、赤口の日に買ってはいけないのではないでしょうかっ!!!
 というわけで、OS5が出てみたり色違いのCLIEが登場したりと、にわかに活気づきそうな今日この頃。パームを買うなら赤口の日はやめておいたほうがいいかもしれません。せっかく買ったパームがどこかに行ってしまう可能性があります。また、いつも新機種が出たらすぐに今まで使っていたパームをほっぽりだして新しいのを買ってしまうあなた。もしかして赤口の日に買っていたりしませんか?

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Rokuyou⇒http://www.page.sannet.ne.jp/lwol/