ピンク色は勇気の色

クリスマスイヴである。毎年この日は楽しみである。なぜなら「明石家サンタ」が見れるからです。いえ、いいんです。泣いてなんていません。これは汗です。
いや、ほんとに明石家サンタは楽しみなのですが。しかも今年はほぼ日刊イトイ新聞で『「明石家サンタ」をみんなで観るのを、生中継。』という企画もあって楽しさ倍増なわけですが。なんというかそれだけではあまりに寂しいではないですか。そんな気分での仕事の帰り道、地下鉄の中でパームをとりだした僕は、SDカードに眠っていた、とある連載もののテキストを読もうと思いました。
(ここから先は約R15指定でよろしく)
健全なる男子であるならば、3大欲にはさからうべからず。これは医学博士でもあられる人間行動心理学研究家の笹川守弘氏のお言葉です(うそです。そんな人いません)。そうです、健全であるならばさからってはいけないのです。もちろん睡眠や食ではありません。がしかし、僕は小粋で知的なむっつり派なので、大手を振ってアダルトなワールドに突入するのは、ある意味で負けを意味します。いろんな意味で負けなのです。
そこで必要なのが、間接的摂取の戦略です。つまり、参考書と参考書の間にエロ本を挟んで買うというような、あたかもそれは「ついで」であるかのような擬態が必要なのです。たとえそんなものバレバレだったとしても問題はありません。重要なのは目標をレジに出すための一かけらの勇気を手に入れるためなのですから。(ちなみにこの擬態も、別の意味で負けですが。というか今更そんなやついない気もしますが。)
ここでポイントとなるのは、なぜか「参考書」であるということです。漫画でも別の雑誌でもいいのに、参考書を選んでしまう。これは後ろめたさの裏返しであり、償いの前払いであり、質量保存の法則ですらあるのです。つまり、たとえ本能むき出しの行動であったとしても、それを知的活動のメタファーで覆い隠すことによってチャラにすることが可能だと信じるものは救われるのです。アーメン。
というわけで、映画批評に定評のあるコラムサイト「Slow Train」にて連載中の「ピンク映画探検隊」を読むのです。書き手は「自宅でAVを見たことのない“スクリーン至上主義者”」こと加藤久徳氏。35ミリフィルムを愛し、ピンク映画を愛する加藤氏の文章は、前置きとしてピンク映画のセオリーの一端を披露し、時にはハリウッド映画との比較などもしながら、ピンク映画の歴史を織り交ぜて書かれる歴史観漂う傑作で、随所に「参考書」的知識もちりばめられており、「こんなもん読んでていいんだろうか」という弱き心を救ってくれる。一部では有名な話だが、かの「Shall we ダンス?」を製作した周防正行監督もピンク映画出身だと知れば、ピンク映画とは若手監督の登竜門であり、しいてはピンク映画を見ることは明日の日本映画界をしょって立つ人物を先取りで見るという至極文化的な行為だと思おうと思って思えなくもないのである。
少ない製作費、短い撮影期間、絶対必要シーンの制限。これらの足かせの中で、オリジナリティーあふれる表現を追及する若手監督の血と汗と涙と○○の結晶がピンク映画なのである!!
どうでしょう。ピンク映画館に足を運ぶための一かけらの勇気にはなりませんか?ちなみに、最近のピンク映画の監督は、わりとそのままAVの監督に流れちゃうことも多いそうですが。それはなんというか、気にしないで行きましょうや。はははん。
ピンク映画探検隊⇒http://channel.slowtrain.org/movie/column-pink/index.html