DOCで読んだもの No.0004

『今月の放言』
フランス書院
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フランス書院文庫。この言葉を聞いたとき、君は何を思うだろうか。
黒光りする書籍のカバーだろうか。それとも、えもいわれぬ肢体を描いたイラストだろうか。背徳の激情の赴くままに立ちすくむ中学生だった自分を思い出して、少し懐かしく、少し切なくなるのだろうか。
文学においても、絵画においても、エロは古今東西欠かせない命題である。その命題に果敢に挑戦し続ける出版会社、それがフランス書院だ。写真や映像には安易に走らず、活字から来る妄想の無限の世界を布教するために生まれた、わかりやすくも尊い思想。すべからく男と生まれたからには一度は通らねばならない道と言っても過言ではないだろう。
それが証拠に、各界の著名人がフランス書院文庫について、自らの思う性的表現について語っている。大槻ケンヂ、ダンカン、ROLLY浅草キッドリリー・フランキーみうらじゅん、乱一世、なぎら健壱、水野晴男、井崎脩五郎。漫画界からも山本直樹八神ひろきという巨匠が。さらに今井雅之鴻上尚史松尾スズキ小西康陽三枝成彰泉麻人、パパイヤ鈴木、ロマンポルシェ。高橋源一郎などなど、そうそうたる面々が、それぞれの性癖もからめた深く危うい逸話を惜しげもなく語っている。それらは時には日本人の民族性について、また時には戦後の敗戦感についてなど、高尚ともとれる話にもなる。エロというテーマの大きさと奥深さを改めて感じるところだ。
彼らの語りは、間違いなくフランス書院へのリスぺクトであり、賛同の証として、また表現という仕事に関わるものの義務として、選ばれた幸運を噛みしめつつ日頃主題として語られることの少ないエロスについての思想の開放なのである。
無論、女性の語り部がいないわけではない。青田典子矢部美穂森園みるくから、知る人ぞ知るところの風祭ゆき、南智子濱田のり子など、酸いも甘いもかみ分けた深みのある女性がじっくりと語るさまは、それだけですでにエロであろう。
昨今の陳腐で安上がりな大量生産のエロにまみれる諸兄よ。まだ遅くはないのだ。より大きく深く淫猥な世界は、いつでも君たちを待っている。
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