海野十三敗戦日記

PalmFan*1さんの8月15日付記事で、PDABOOK.JPから『海野十三敗戦日記』が発売されたという情報をみた僕は、海野十三ってことは青空文庫*2にあるんじゃねえの? と思って探したらあったので読んだ。
なんつーの。戦争知らない世代の僕からすると、戦争中の一般市民ってのはだいたい、逃げまどうか死ぬか無惨な死体で転がってるかのどれかじゃないですか。まるでそういう舞台装置であるかのように。
そんなわけないんだよねぇ。
空襲におびえたりむかついたりするけども、飯食ったり結婚したりご祝儀出したり、防空壕掘ったり、防空壕と家に荷物を出したり入れたり面倒くさがったり、郵便出したりもらったり、給料もらったり働いたりしてるんですよ。24時間ずっと戦争のことだけで生きているわけではない。となりの奥さんが買い物行ってる間に爆撃食らったりとか、生活の中に否応なく戦争が入り込んでいるという感じ。そういう感覚を知らないできたのは駄目だったかなぁと思いました。
敗戦日記というタイトルだけども、実際は前年の昭和十九年十二月七日から日記は始まる。空爆の中の日常を経て、原爆の日が来て、敗戦の日が来て、家族で自殺を選ぶ。結局青酸カリが手に入らなかったりして、死なないで済むのだけども。日記なのである意味盛り上がらず、死ぬと決めたときも生きると決めたときも、ただ淡々と日々が過ぎる。ドラマチックではない、戦争のある日常。
そういうことがあったのだという記録。
海野十三敗戦日記(青空文庫http://www.aozora.gr.jp/cards/000160/card1255.html

*1:http://www.palmfan.com/

*2:http://www.aozora.gr.jp/