本場のDOCリーダー

 「はっ、俺ってば本場のDOCリーダー知らないじゃん!」
 ある日そんなことを思いました。思っちゃった以上、知らんといかんでしょう。というわけで、とりあえず掲載数が適度な感じのFreewarePalmでアプリ探しです。縦書き派なもんで、横文字専用のアメリカ産DOCリーダーは完全無視してたんですが、このままでは英語も読めないのかと痛い腹を探られること必至ですので、無理して色々使ってみることにしました。
 つらーっとタイトルだけ見てたら、なんかすごく気になるものが。その名も「Palm Reader」。おいおい、天下のPalmの名を語ろうってぇのはどこのどいつだよとばかりにクリックしたら、製作者の欄にPalm Inc.の文字が。……本人じゃん(いや、人じゃないけど)。
 おいおい。本家が作ってるのならなんで日本語版が出ないのよ、と思った途端に「ピーン!」と来ましたね。ええ。原因は多分神様ですよ。神様がJ-DOC Reader作っちゃったもんだから、日本はこれでいいかみたいなことになったのではないかと。しかもその後縦書きなんつーアメリカ人もびっくりな荒技が広まっちゃったもんで、いやこれは日本人に任せておこうと。まぁそうなったんですよ、きっと。ええ、大歓迎ですよ。日本語の表示方法で日本人の右に出る人間なんていないもの。
 で、そのPalm Readerですが。えー、とても健全なDOCリーダーさんです。はい。2バイトに対応してないんで部分的に文字化けますが。白黒反転とか、お得意のメモ型コメントが付けられる機能とかあったりしますが、まぁ普通のDOCリーダーですよ。ただこれはいいかもと思ったのは残量を表すバーのとこ。通常の表示だと小さいんですけどね。ペンでタッチすると拡大されるんです。なんかDAみたいに。でかいんで移動も楽です。これはさすがPalmだと思いましたね。
 最後にアバウト画面見たんですが、FreewarePalmでのスクリーンショットでは立体の円の中にPalmと書いてあるロゴだったのに、ダウンロードしたやつはPalmsourceのロゴになってました。そうよね、ソフトはそっちよね。……なんかしみじみしました。
 続いて使ってみたのは「Book Wormie」のカラー版。なんかね、ちょっとおしゃれなメニューバーに魅かれてみました。起動したらいきなり「小書蟲」と漢字が。あら、中国韓国あたりの作者かと思って製作者欄を見てみたらiPDA Asiaとありました。お、ひょっとして2バイト通るんじゃないのと思ってみたら通りましたよ。で、いまさら気がついたんですが、こいつ起動画面があるのですよ。なんて無駄な。さらになんかレジストしろとか言うし。強引につきすすんでDOCの一覧画面に進んだら、なんと画面の上四分の一にClieの広告が。しかもアニメ。そりゃあもうびっくりですよ。アニメ広告が流れるDOCリーダーって。さすがに中身を読むときは広告はないですが。そういや起動画面にDesigned for SONY Clieなんて書いてありました。ソニーの回しもんでしょうか。それならそれでウエルカムですが。
 とりあえず2バイト文字は通りましたが、特筆すべきところはありません。ただ、DOCの一覧画面って使えるなぁと思いました。他のトコに広告なんか表示したら使い物にならないもの。何かグラフィック的にやりたいことがあるなら、スペースはここしかないと。
 続きましてぇ。「CSpotRun」ちうのを使ってみました。正直なところ、これは昔使ったことがあります。うちのデラックス君にCFカードを刺すために買ったiTAX-Flashのドライバにくっついてましたね。ええ、僕の中では常識となっていたDOCの一覧画面なしでいきなりDOCが開くおそろしいやつです。他のを読みたいときは右下のポップアップで選びます。まぁある意味潔いかも。あと、こいつには行間調節機能がついておりました。そこは買います。えー、それだけです。
 次に試してみたのが「K-Reader」です。日本のサッカーがJリーグなら、韓国のサッカーはKリーグ。ってことは2バイトいけるのではないかという根拠で使ってみました。えー、作者の正体が何人なのかは解りませんが、2バイトは使えました。なんというか、一番しっくりきましたね。挙動パターンが同じなんですよ、日頃使っている日本製のDOCリーダーさんに。進行度はバーではなくパーセント表示だったりしますけど。そのパーセントのところをタップすると、数値を入力して飛ぶ画面が出ます。ちょっと嬉しかったのは同時に一番上と一番下に飛ぶボタンもついてたこと。なるほど、それは自然な配置だわ。またこやつはボタン類を消して全画面表示が可能になっております。わりと嬉しい。
 とりあえずはこんなもんでしょう。なんというか、全体的に見て思ったのは、わりとどれもタップしないと色んなことができないということです。液晶接触恐怖症の僕には耐え難い感じです。あと、あたりまえだけど縦書きが必要ないので、すごくあっさりしていて好感が持てました。なんてまとめているうちに、すんごいのを見逃していたことに気がつきました。そう、すんごいのを。
 えー、その前に、同じカテゴリにあったんで思わず落としてしまったアプリを紹介しましょう。カウントダウン物でベスト3に入る前に番外編をやったりCMに入ってじらしたりするという風味です。
 えー、モモヤのザーサイ……まぁ、さっさとね。えー、そのアプリの名は「Murphys Rules Reader」。Murphysはマーフィーの。Rulesは法則。そう、かなり前に流行ったマーフィーの法則関連のアプリです。アーカイブには本体とデータベースファイルがついてまして。開くと通し番号と、星を付けられるスペースと本文、そして空欄があります。星のスペースはプルダウンメニューで星一つから星五つまで選べます。これでしるしを付けておけということでしょうか。で、空欄はメモ帳になっているので、自分の思うままを書き留めることができます。いや、だからどうだって事はないし、そもそも英語なので読めなかったんですが(あ、言っちゃった)、このメモ帳付きスタイルって何かに使えそうだと思ったので、一応書いておきます。その程度の感じです。キレイな包装紙を取っておくおばちゃんみたいなもんですな。でもデータベースが別って事は、何か別のデータベース作れるのかもしれないし(メモを記録するだけかもしれんけど)。そうすれば、ほら、Muchyさんがレビュー書く前にメモとして使えるかも。五つ星選べるし。
 さ、そんなのは置いといて(いやMuchyさんをないがしろにするわけではなく)。間違いなくここからがメインイベントです。今回のDOCリーダー探しの旅で一番の収穫とも言えるDOCリーダーをご紹介します。
 その名は「ReadThemAll」。ズバリ言ってしまうと自動スクロール専用DOCリーダーです。おっと、意外だと思われるかもしれません。ちなみに僕は自動スクロールが大嫌いでした。もともとキレイにスクロールするパワーなんてないもんだから、ガタガタで読めるもんじゃないし、もしも滑らかに動いても全体が常に動いているのは落ち着かなくて駄目だろうなぁと思っていました。がしかし、このReadThemAllに出会って世界が変わったのです。まさに目からウロコでした。言っておきますが、あやしい宗教の勧誘ではありません。
 何と言いましょうか。上書きスライド方式とでも言いましょうか。普通横書きのテキストは上から下に向かって読みますよね。するとだんだん次のページが上から上書きされてくるのです。でも読んでるほうはすでに下の方を読んでいるし、読んでいる部分は静止しているので何の問題もありません。で、一番下まで読んだら、その頃にはもう真ん中くらいまで次のページになっているので、また上から読めばいいのです。もちろん、書き替わっている次のページというのは、次のページの一番上から順に書き替えられています。永遠に追いつかない追いかけっこをしている感じですね。まぁ追いついたり追いつかれたりしたら駄目なんですが、結構適当なスピード調節でもすんなり読めます。
 すごいなぁと思ったのは、書き替えラインを先導するようなかたちで目印になるL字のマーカーが横を走ってるんですね。それを何気に横目で確認して読むことができます。まったくもって良くできてるんですが、そのマーカーで心の準備ができるので、追われているとかいう感覚が和らげられるんですね。猫の首に付けた鈴みたいなもんです。
 ピアノとかでよく楽譜めくりの人が横にいたりしますが、ちょうどあんな感じでしょうか。とても楽です。ええ、自動ページ切り換えとはこうあるべきだというもんです。別モードとして、中間がグラデーションで消えてゆくのもあります。見た目はキレイですが、なんとなく僕はラインで書き換えてくれるほうが好きでした。
 まぁ知ってる人は知っている物なのでしょうが、僕にはカルチャーショックと言っても過言ではないくらいの衝撃でした。ただ、惜しむらくは2バイト文字に対応していないので文字がバケバケだということです。だれか、これの日本語版作って下さい。縦書なんかになったら最高かもしれませんが、人間の視界は縦移動よりも横移動の方が広かったりするので、ひょっとしたら読みづらいかもしれません。
 というわけで、お仕舞いです。いやぁ、細かい工夫もいろいろあったし。結構DOCリーダー一つとっても面白そうな変化の余地はまだまだ隠れていそうな気がしました。