情報を料理する

●入れて貯めた後が重要
情報を入力する方法と、情報をため込んでおける量の話は良く聞きますが、その情報を操作したりつなげたりという話はあまり聞きませんね。インターネットによって、情報は高いお金を払って買うものでも誰かが囲い込むものでもなく、基本的に平等に手に入るものだという時代に入ってきてると思うので、あとはその情報をどう料理するのかが勝負所だと思うのですが。
結局のところ、不動のベストセラーをばく進しているExcelも、入力した情報の一覧性や再利用の多様性をウリにしているわけですが。それをその一つのファイルに限らず、コンピューターに入っている情報全てから関連性のあるものをつなげてグラフにできたりすれば、今まで気付かなかった発見ができるかもしれません。これからはパソコン全体を考えて、情報の再利用の多様性で勝負することが重要なのだと思います。腐らなくて、何回でも使える食材があるのですから、もうあとは料理人の資質で勝負するしかないのです。


●グローバル検索
Palmの検索は、Palm全体からひっかかる情報を検索することができます。これは、基本的にテキストベースのデータが多いということから成り立っていますが、なぜか画像を表示するアプリケーションにも必ずその画像にコメントを付けることができるようになっています。これは、ありとあらゆる情報を繋げることが目的なのではないかと僕は思っています。
もちろん、こういった検索は独自形式で外部から中身を判断できないようなデータには通用しません。プレーンテキストでなんらかのデータをもっていないものがあれば、それはその他の全データからの孤立となります。カード形式だろうとアウトラインプロセッサだろうと表計算だろうと、全てはテキストで(画像や音にはコメントがついていたとして)成り立っているわけですから、そこから誰でも簡単に情報を引き出せないと発展はしないのです。
ファイルを展開するのは固有のアプリでも構いませんが、少なくともグローバル検索に引っ掛かるような統一フォーマットが生まれないものだろうかと思うのです。ExcelやWordのファイルには製作者のデータが自動的に入力されますし、あらゆるファイルには作成日や修正日のデータがあるので、目的のファイルを探しだすことはできます。Macの場合は、すべてのファイルにコメントを書くことができます。ブラウザからコピーしたデータに、そのアドレスがコメントとして自動的に書き込まれるので、すぐにでもそのサイトに戻れるという便利なものですが、いかんせん、それでは足りないと思います。PDAはまだまだこれからの分野ですが、だからこそ今ならまだできるのだと思います。これはOSの基本レベルで可能にしないといけないので、様々なファイルフォーマットが参入する前に基本仕様を固めないといけないのです。今やらないと二度とチャンスはないでしょう。
美味しいスパイスが戸棚の中で眠っているかも知れません。頂き物のハムが、玄関に置きっぱなしかも知れません。どんなに高性能だとしても、冷蔵庫の中だけに全てがあることはまずありえないのです。ベストな料理を作りたいのなら、可能な全範囲から食材を集められたほうがいいのです。そうしなければ新しい発見はもたらせません。料理とは調理法と材料の組合せです。プリンに生クリームをのせるのも、プリンに醤油をかけて「うに」と称するのも、自由です。組合せの自由は阻害されるべきではないでしょう。


●材料を手に入れるだけで満足してはいけない
危険なのは、情報はあくまでも情報なので、情報を入手して整理し終わった達成感を感じた時点で終わってしまうことです。それはそれで大事なことですが、食材を手に入れて、きちんと並べて冷蔵庫に入れただけでは料理にはなりません。
また、インターネットは畑であり流通です。そこから直接素材を入手したり、さまざまな人と交換することによって、知らなかった素材を手に入れることもできます。それこそ世界が相手の流通ですから、素晴らしい素材が手に入ることでしょう。しかし、やはり最終的には自分で料理しなくてはいけません。そこだけはどうしても外せないのです。
そもそも、なぜ機械が情報の整理に便利なのかといえば、食器洗い機みたいなもので、機械に勝手にやらせておけばいいだけで人間がわざわざやるほどの事ではないからです。そこで終わるのは、ただの食器洗い機と同じレベルの人間だということになってしまいます。もちろん、食器洗い機も進化するように、新しい整理法を考え出せるのもまた人間ですから、整理法の達人になるというのは素晴らしいことだと思います。また、情報を入力するだけの作業でも、自動的に全体像が頭の中にイメージされていくので、なかなかに馬鹿にできない部分もありますが、それはまた別のお話。
ちなみに、これは情報の料理人になりたい人限定の文章ですので、料理を食べるだけの人には適合しません。食べる人にはまた別の道具が必要になるでしょうし、料理を作る人と食べる人の道具が同じ発展をするわけもありませんので。(勘違いをされると面倒なので書いておきますが、食べる人が料理人より劣っているなどとは考えてもいません。)


●素晴らしいアシスタントを使って最高の料理人になろう
以前から何度か書いていますが、情報の必要性を判断したり、そこから何かをひらめいて物を生み出すのは人間しかできません。だからこそ、そういったあらゆる情報を整理したり見やすくする便利な道具が必要なのです。それが小型でいつでもどこでも持ち歩けるのなら、これほど便利なことはないでしょう。
貯めておくだけの冷蔵庫だけでもなく、並べるためだけの皿だけでもなく。適当な材料を入れておくと下ごしらえをしてくれたり、記憶できないほどの材料から使えそうなものをセレクトしてくれる。そういった情報のアシスタントをしてくれる存在に、PDAにはなって欲しいのです。
あとは、それを使って素晴らしい料理を作れる料理人になるだけです。それが一番難しいのですけれど。